助け船 まだ歩ける。(6日目/バンクサイド)

ヒザが痛くて動かせない・・・。
こんなどこかも分からない農道の脇で、行動不能になっても困るぞ。

あんあまり眠れないまま朝は来て、テントをたたみ、出発の準備をする。
しばらくは次の町に泊まって、休養したほうがよさそう。

とりあえず、のろのろと歩き出すことはできた。


2時間ほど歩くと、何か不思議と左ヒザの痛みが消えてきた。

マヒ?

たまに重心を左足に持ってくるとバランスを崩すが、まあまあ歩ける。ラッキー。


ペースを取り戻し歩いていると、分かれ道にさしかかる。
ニュージーランド全土の地図しか持ってないから、細かいことは分からんよ。

てきとうに細い道へ入っていくと、遠くで農作業をしていたブルドーザーが、バックで近づいてくる。
太い腕に入れ墨を入れた、たくましいおじさんが乗っていた。

たくましいおじさん
Lose your way ? (道に迷ったのか?)
えだ:そうです
・・・イエス。

ただ西に向かっているだけだから、道に迷っているわけではないんだが、こんな何もない農道を歩いていれば、迷子と思うかも知れない。
ただ、水の補給もしたいし、次の町の場所を聞いた。

えだ:町どこ?
フォェア イズ ネクスト タウン?
たくましいおじさん
...car...bridge... (ここで待ってろ。今車を取ってきて送ってやる。次の町までに長い橋がある。)

「カー」と「ブリッジ」しか聞き取れなかったが、まあ、そういうことを言っていたと思う。

たくましいおじさんはブルドーザーに乗って立ち去り、数分後車で戻ってきた。
俺のリスニングは間違ってなかった。

えだ:感謝
サンキュー!

足の調子もおかしいし、喜んで乗せてもらう。


車で走るとすぐに橋が見えてくる。

たくましいおじさん
This bridge is small and... (この橋は狭くて、歩いては渡れない。)
えだ:ホントだ
オー。

ホントだ。歩道がなくて、これは危険だ。
特に今日は風が強い。大きなバックなんか担いでると、もろに風圧を受けて流される。

たくましいおじさん
This river is very big. (この川はとても広い。)
えだ:感激
ビューティフォー!!

川はいくつにも別れて流れていて、その幅は1kmはある。
そして 水は青い!

この素晴らしさを、たくましいおじさんに伝えることに全力を注いでいたので、写真を撮るのを忘れていた。


橋を渡りきったところにラカイアという町があり、そこで降ろしてもらった。

たくましいおじさんに、名前と住所を聞き、お礼を言って別れを告げた。
日本に帰ってからしっかりお礼をしよう。

ふと、今日、全然写真を撮ってないことに気付く。

たくましいおじさんの車

あわてて撮った、今日の一枚目。
乗せてもらった車が立ち去るところ。


ひとの優しさから元気をもらい、まだまだ歩いていけそうな気がしてきた。

  • 一言 でも自転車欲しいなぁ。