くっつき虫の死闘 魚釣りはだだの余興?(11日目/テカポ)

魚の釣れそうなポイントへ移るため、テカポ湖より4、5km離れた場所へ移動する。

テカポ湖とは違う青さの湖が見えてきた。

小さなリゾート地かも。

湖の畔には、コテージやキャンピングカーがけっこう見える。
ホリデーを楽しむ人たちでにぎわってそうだ。


湖に近づいてみると・・・

写真写り悪いな・・・もっと透明だった。

透明だ。
空の色が反射して、青く見えるところがあるけど、湖の底が見えてしまうほど透き通っている。

吸い込まれそう。

全く色が付いてないと、湖が黒くも見える。


キーマ、ボン親子と、どさくさに紛れた俺の3人で、 2本の釣り竿を回して釣りを楽しむ。

キーマ
HA HA HA !(やっちゃった!)

キーマはしょっちゅう、針を木に引っかける。そして、楽しそうに笑う。

ボン
Fu・・・.

ボンは木に登り、針をはずす。

木登りうまいなぁ。

ニュージーランドの子供たちは、こういう自然の中で遊ぶことが多いんだろうな。
健康に育ちそうだ。・・・食生活さえ良ければ。


不意に近くでポチャンと音がした。

キーマ
splashed! (魚がはねた!)

俺は確認できなかったが、魚はいるようだ。

しかし、一向に釣れる気配はない。
少なくとも、俺とキーマはリール釣りのテクニックがないと思う。

キーマ
Let's return. (よし、帰ろう。)

1時間くらいたったところで引き上げることにした。結局収穫なし。

でも、キーマとボンは、なんかすごく機嫌がいい。
最初から魚を釣ることを目的にしてないようにさえ思える。

そんな2人は車に戻る途中・・・

ボン
Fu Fu・・・.

ボンが何かキーマに投げつけた。
俺が小さい頃、くっつき虫って呼んでたものだった。(正式名称はオオオナモミ)。卵形でトゲトゲに覆われた植物の実で、衣服によくくっつくやつ。

見事にキーマの服にくっついた。

するとキーマはあたりに実ってるくっつき虫を、手いっぱいにこそぎ取る。

キーマ
Wait! Wait!(まって!やめて!)
キーマ
HA HA! (問答無用!)

ボンは頭からくっつき虫をかぶる・・・キーマ容赦ねぇ。
髪にけっこうくっついちゃって、取るのが大変そうだ。

不憫に思い、ボンの髪についたくっつき虫を取るのを手伝っていると・・・

キーマ
HA HA HA! (まだまだ!)

キーマはさらに追い打ちで、くっつき虫のシャワーを浴びせる!・・・情け容赦ねぇ。

キーマ
I was made angry. (どうやら、俺を怒らせてしまったようだな。)

ボンも手当たり次第、くっつき虫をこそぎ取る。
もちろんキーマも次の攻撃の準備をしている。

キーマ
HA HA !(積年の恨み!)
キーマ
HA HA HA! (親の偉大さを知れ!)

何を言ってるか分からないけど、すごくヒートしてきたぞ。巻き沿い食わないように、ちょっと離れる。荷担したいが、どちらにも恩があるし・・・。


くっつき虫を投げ合う親子を見ていると、楽しそうで、心が和む。

ボンは最初、クールな少年かと思っていたけど、単に怪しげな日本人が側にいて、警戒していただけなのかな?
今はすごく無邪気な子供に見える。


いい親子だ。

  • 結局 釣りよりこの親子の方が楽しかった。